ことば・辞書:「痛める」続き
ほんとにあきれますね。また10日。
外の人のいろいろなブログが、更新されないのがよくわかりました。
何を書いてもいい、というのは、意外に書きにくいものだということ。
まあ、そういう言い訳あるいは心理の考察はまた次の機会にして、この前の話の続きを。
「痛める」というのはどういう意味かはっきりしない、という話でした。
そこで、このブログのタイトルでもある「ことば・辞書」の話として、辞書の定義(語義説明・語釈)をあれこれ見てみようと思うのです。
岩波国語辞典(第七版)
1 痛さを感ずる状態にする。
ア 肉体的な痛み、または肉体の働きの故障を起こす。
「足を-」「胃を-」
なるほど。切り傷でも、骨折でもいいような書き方ですね。
新明解国語辞典(第六版)
一 〔からだの部位に〕痛みを伴うような異状や故障を生じさせる。
「腹を痛めた〔=自分が生んだ〕子供/(以下略)」
大差ありませんね。しかし、出産を「異状や故障」の最初の例に挙げるのは感心しません。「腹を痛めた子」というのは、かなり修辞的な表現でしょうから。
明鏡国語辞典は、「表現」の欄を作って、
「自分のおなかを-・めた子」のように、肉体的苦痛をいう言い方も
あるが、多くは体の損傷や故障をいう。
と注意しています。なるほど。
それにしても、「痛める」がどういう種類の「損傷や故障」なのかはわかりません。
まあ、これが「国語辞典」の水準なのでしょう。
たとえば小学生が、
「体を痛める」っていうけど、どういう場合に使うんだろう?
ナイフで切っちゃったり、骨折したりしたときも使えるのかな?
と疑問に思ったとき、答えてくれる「国語辞典」はないようです。
こういうことを、常々残念に思っている、つまり「国語辞典」がもっといいものになってくれないものかと思っているのですが、なかなか実現にはほど遠いようです。
なお、「国語辞典」とわざわざかっこを付けているのは、「日本語辞典」のほうがいいだろう、と思っているからですが、その話はまたいつか。
saburoo